文化庁は、漫画や映画などの海賊版サイトにインターネット利用者を誘導する「リーチサイト」を規制するため、著作権法を改正する方針を固めた。リーチサイトにリンク(URL)を張る行為は、これまで違法ではないと解釈されていたが、これを著作権の侵害行為とみなし、著作権者が掲載の差し止め請求をできるようにするほか、提供者らに対する罰則規定を設ける。来年の通常国会に同法改正案の提出を目指す。
文化庁長官の諮問機関・文化審議会の小委員会がリーチサイトの対応を議論しており、9月に論点整理案をまとめた。
小委員会はリーチサイトそのものには海賊版は掲載されていないものの、リンクを張ることで海賊版の拡散を助長しているとして「著作権侵害と同視すべき大きな不利益を著作権者に与える」と指摘。整理案を受けた文化庁が民事、刑事の双方で規制する方針を決めた。
差し止め請求の対象は「海賊版に誘導するリンクを張る行為」で、リンク提供者だけでなく、削除できるのに放置したサイト運営者も含まれるとする。憲法が保障する表現の自由を侵害しないよう、リンク先が海賊版であることを知っているか、知ることができたと認められる場合に限定する。
抑止効果の観点から罰則が必要としており、小委員会では「懲役5〜3年の罰則が適切ではないか」との意見が出ている。
海賊版サイトを巡っては、政府の有識者会議が、利用者の同意なく特定のサイトを見られなくする「接続遮断(ブロッキング)」の法制化について検討している。【伊澤拓也】
【ことば】リーチサイト
著作権者の許可を得ずにインターネット上で漫画や映画、音楽などの著作物を無料で閲覧したり、保存できたりする海賊版サイトに誘導するリンク(URL)を並べて掲載するサイト。利用者はリンクから海賊版サイトにアクセスし、違法コピーされたデータを無料で閲覧できる。リーチサイト自体には違法コンテンツを掲載していない。「リーチアプリ」と呼ばれるスマートフォン用のソフトもあり、改正法では規制の対象とする。
10/14(日) 6:38
毎日新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181014-00000000-mai-soci