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缶チューハイやビール類ではストロング系の存在感が高まっており、コンビニエンスストアのRTD(チューハイ・サワーなどの低アルコール飲料)の棚の半分を占める売場も見られる。炭酸飲料やスナック菓子でもストロングと銘打つ商品が登場しており、もはや1つのトレンドだ。清酒においても今年に入って、6月に先行して小西酒造がストロング清酒を発売し、秋冬の新商品では他メーカーもスタンスはそれぞれ異なるが、ストロングに分類される商品を一斉投入したことで、清酒業界においてもストロング時代が到来することとなった。
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〈パイオニアは月桂冠〉
ストロング清酒のパイオニアは月桂冠(京都市伏見区)だ。2012年3月に「上撰エコカップストロング」(アルコール度数17度)と「純米エコカップストロング」(16度)を発売。また、同年9月に2Lの容量で「辛口ストロングパック」(17度)を発売している。辛口パックは価格勝負となるため、その後は終売するに至った。「経験からいくとうまくいかないのでは。売れる地域が決まる。そこだけだと成り立たない」(同社)と指摘。酒飲みの県として有名な新潟のみで顕著に売れたという。
現在のストロング清酒の流れをつくったのは、17年3月に小山本家酒造(さいたま市西区)が発売した「界」(17度)との見方もある。灘・伏見の大手メーカーからも、「数量はそこまでではないが、入っているところは伸びている」「『界』は売れている」と注目を集めている。
小山本家酒造は、「好調で目標は達成している。味わいが評価されており、リピーターを獲得できている。売場担当者やバイヤーからも好評だ。これまでこういった商品がなかったのも要因」と手ごたえを語る。
今年6月には、小西酒造(兵庫県伊丹市)がアルコール度数16度で「白雪 淡麗辛口 ストロング1.8Lパック詰」と「白雪 淡麗辛口 ストロング180mlカップ詰」を発売した。淡麗辛口にこだわり、飲み応えがありながらキレのあるドライを目指した。「他社に先駆けてトライし、それなりの結果だったので、秋から本格展開を始める」(同社)。
■〈今シーズン、4社が新商品投入〉
この秋冬の新商品では4社がストロング清酒を投入した。菊正宗酒造(神戸市東灘区)は「濃い辛口パック」(17度)を新発売した。「提案では比較試飲が必要だ。単品ではなく比較試飲でバイヤーに味わってもらい、扱ってもらいやすくする」(同社)。黄桜は「ストロングドライ」(17度)を投入した。「最近の流行で、これから拡大に向かうと思う」(同社)。
宝酒造(京都市下京区)の「天」〈飲みごたえ辛口〉(15度)は、ストロングの位置付けではなく、辛口ユーザーは既存の辛口では飲みごたえ感が足りないという調査結果から、後味をしっかり残す辛口として発売。「すっきりと、飲みごたえを求めていた辛口ユーザーにベネフィットを付加する意味合いが強い」(同社)。
沢の鶴(神戸市灘区)の「米だけの酒 純米原酒生貯蔵パック」(18.5度)は、ストロング清酒の中で最も高いアルコール度数だ。これまで「米だけの酒」シリーズは、一般的な度数と10.5度の低い商品を揃えていたが、「これまでなかったカテゴリーを埋める意味合いで発売した」(同社)。
ストロング清酒で気になるのは、飲む量が減る可能性だ。それについては、「アルコールを常に飲む人は自分の量があり減らさない。酔うまでには時間がかかる。2合飲む人は度数が高くなっても2合飲むと思う」(菊正宗酒造)、「日本酒好きの人が買うと思うので量が減る心配はしていない。度数で4度の違いなので、半分になるとは思わない」(沢の鶴)、「氷を入れて自分好みの度数にできる。40〜50代のパックユーザーへの調査でも氷を入れて飲む人が多い」(宝酒造)。
未発売のメーカーからは「1つの流れではあり検討はしている」「今後の検討材料ではある。視野に入れるという話は、開発では出ている」といった声が聞かれた。秋冬の結果次第では、追随するメーカーが出てくる可能性もありそうだ。
10/14(日) 19:21
食品産業新聞社ニュースWEB
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