10/24(水) 23:39配信
産経新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181024-00000641-san-pol
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財務省は24日、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会を開き、平成31〜35年度の5年間の中期防衛力整備計画(中期防)について、調達改革によるコスト削減の推進を提案した。5年間で最低でも1兆円の削減が可能だとみている。北朝鮮による弾道ミサイルの脅威などを受け、第2次安倍晋三政権発足後の25年度以降、毎年度増加を続けている防衛費だが、無駄の排除や効率化の徹底でさらなる財源を捻出する。
中期防は防衛力の整備、維持、運用に関する基本指針「防衛大綱」に基づき5年ごとに部隊規模や経費を明示するもの。政府は年末までに、31年度からの計画を策定する。
26〜30年度の中期防でも5年で計7千億円のコスト削減を行う計画で、すでに計画を上回る7710億円が削減できる見通しだ。特に防衛装備庁が発足し、調達改革が本格化した29、30年度は年2千億円程度の削減ができていることから、財務省は「(次期中期防でも)この水準は最低限達成したうえで、さらなる上乗せを目指すべきだ」とし、5年で1兆円以上のコスト削減を求めた。
財務省が調達コストの大幅削減を提案するのは、市場価格がなく、原材料費なども不透明な防衛装備品には、まだコストを削減する余地が残されているとみているからだ。
特に防衛装備品の取得単価をみると、計画段階の価格と比べて高額になっているものも少なくない。一般的に量産が進めば生産効率が上がるため価格は下がるのが普通だが、財務省が調査したところ、26〜30年度の5年間で87両を購入した機動戦闘車は1両あたり4億8千万円の計画だったが30年度に実際に購入した際の単価は7億6千万円と58%も上昇。地対艦誘導弾も計画では85億2千万円だったが同年度の取得単価は129億4千万円に上った。
部品の輸入単価の上昇や原材料費の高騰などが要因と考えられるが、詳細は公表されていない。財務省は「計画単価を公表し、取得単価が計画を上回った場合は優先順位を決め、調達計画を見直すことも必要だ」と提言。世界の防衛産業が大規模化していることを踏まえ、国内防衛関連企業の再編の必要性も指摘した。
財政審の委員からも「防衛予算について国民の納得感が得られるように、単価の公表などは行うべきだ」といった意見があった。(蕎麦谷里志)