10月中旬、岩手県北部にある葛巻町立江刈小。給食の時間になると、子どもたちは持参したお弁当箱を開け始めた。中身はほとんどがご飯だ。同町ではこの1年、給食で主食が提供できていない。昨年9月末、給食パンを納入していた同県一戸町の「一野辺製パン」が破産したためだ。
破産管財人の弁護士によると、給食パンの回数が減ったことが一因という。同社は米飯も提供していたため、給食で主食が出せなくなった。その後、他県の業者が工場を購入して操業を始めたが、中山間地の葛巻町へはコスト面からパンを配送できないという。町は、今年度中は児童に主食を持参させる方針だ。
全日本パン協同組合連合会(全パン連)によると、昭和20〜40年代に6千社あった給食パン業者は現在、1300社を切っている。一番の理由は、パン給食の回数が減ったことだ。かつては週5回だったが、文部科学省の2016年の調査によると、米飯は週平均3・4回で、残りはパンか麺。全パン連によると、パンは平均1・3回という。川島弘士副会長(74)は「毎年100社消えている。せめて週2回のパン給食が維持されないと業者はなくなる」と言う。
今年4月に廃業した茨城県日立市の「キムラヤ」も2年前、給食パンの製造をやめた。日立市などがある県北部のパン食の回数は、週平均1・5回。経営していた平子允秀さん(77)は「パン給食が減ったのが閉店理由の一つ。週1回程度で設備投資ができない」。
業者が減ったため、県境を越え…残り:738文字/全文:1416文字
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2018年11月30日16時13分
朝日新聞デジタル
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