http://news.livedoor.com/lite/article_detail/15648789/
ざっくり言うと
就職氷河期で割りを食った「中年フリーター」は約273万人に上るという
同世代の正社員に比べて貯蓄が少なく、社会保険の加入率も低い
生活保護にしても、日本の財政はその世代を支えられる状況にないと筆者
かつての就職率の低さがウソのように、近年、新卒の就職市場は大きく改善した。
目下、日本を悩ませている社会問題はむしろ「人手不足」だ。政府は高齢者の雇用継続はもちろん、人手不足を補うための「移民政策」にも本格的に取り組み始めた。
しかし社会全体の雇用状況が改善するなか、正規の仕事を切望しても得られない「取り残された」人々がいる。就職氷河期に就活をして大きな割りを食った「中年フリーター」だ。彼らは相変わらず政策的な手当てをされないままでいる。
「ロスジェネ」と言われるこの世代は、10年以上前から状況の改善を求めて声をあげてきた。しかし、『ルポ 中年フリーター』(NHK新書)を上梓したジャーナリストの小林美希氏によれば、彼らは近年、長きに渡って状況が改善しないことに絶望し、あきらめの境地に入りつつあるという。
なぜ自分たちだけがーーそんな思いを抱えた中年フリーターの絶望と諦念、そして、彼らを放置してきたことで日本という国が受ける巨大なダメージを、小林氏がレポートする。
非正規雇用を強いられる
「44歳ですか……。あなたの年齢だと、チームリーダーになっていてもおかしくないですね」
いつからか、採用面接では決まって言われるようになったセリフだ。中年フリーターの野村武志さん(44歳、仮名)には、企業側が遠まわしに「うちはダメ」と言っているのが分かる。年齢の壁が高く感じる瞬間だ。
中略
国からも見放された世代
安倍晋三政権は「一億総活躍社会」「すべての女性が輝く社会づくり」「働き方改革」など、次々に労働問題に関するスローガンを掲げてきた。これほどまでに雇用政策が目白押しな政権はかつて例がない。
新卒市場では、景気の良い数字が聞こえてくる。
就職率(卒業生に占める就職者数の割合)を見ると、2017年3月の大学学部卒は76.1%、2018年3月は同77.1%となっている。これは、バブル崩壊前の水準近い数字だ(文部科学省「学校基本調査」)。
就職の「中身」を見ても、正社員が増えていることが分かる。文部科学省の同調査によれば、東日本大震災翌年の2012年3月卒では、「正規」の就職率は60.0%だったが、2017年3月卒は72.9%、2018年3月卒は74.1%と跳ね上がっている。
これらの数値が示す事実は明快だ。現在の労働市場において、新卒採用は空前の売り手市場なのである。
そうしたなかで、取り残されている重要な問題がある。就職氷河期に社会に出て、現在も非正規雇用で働く人々の存在だ。
35〜54歳のうち、非正規雇用労働者として働く「中年フリーター」は約273万人に上り、同世代の10人に1人を占めている(三菱UFJリサーチ&コンサルティングの尾畠未輝研究員の試算による)。この数字には既婚女性が含まれていないため、実際にはより大きいボリュームを占めると思われる。
就職氷河期世代には、ブラック企業に就職して心身を病んでしまい、退職するケースが珍しくない。その後は、非正規や無職となってキャリアが断絶され、そのまま中年フリーター」に至ってしまう。前述した武志さんも、その一人だった。
結婚もできない
では、中年フリーターの身に何が起きているのか。データをもとに二つの現実を見てみよう。
第一に、恋愛がままならないため、非婚・単身世帯が増えている。
2017年の「就業構造基本調査」(総務省統計局)によれば、35〜39歳の正規雇用者では未婚率が24.7%に留まるのに対して、派遣・契約社員では60.6%、パート・アルバイトでは79.4%が未婚のままとなっている。
中略
無気力化してしまった働き盛り
就職氷河期世代は、これまで怒りの声をあげ続けてきた。だが、筆者が中年フリーターと化した彼らを実際に取材すると、もはや怒る気力もなくなっているようだ。
ここに新たな問題が浮上している。「あきらめ」だ。
★1の立った日時 2018/12/02(日) 15:24:30.56
>>2以降に続く