同番組で「左派(民主党)は私たちが黙って(移民を)受け入れるべきだと言う」「たとえ移民はアメリカを貧しく、汚くする存在であってもだ」と発言し、強い批判を浴びた。
同氏の発言で問題視されているのは、「移民がアメリカを貧しく、汚くする」という部分だ。メキシコと国境を接するアメリカには中南米からの不法移民が非常に多く、
トランプ大統領は不法移民の流入を阻止するためにメキシコ国境の壁建設のための予算を要求。上院がまとめたつなぎ予算案に壁の建設費が含まれなかったため、トランプ氏は署名を拒否し、米政府機関は現在一部閉鎖に追い込まれている。
極右派でトランプ大統領を支持するカールソン氏は当然国境の壁建設も支持しており、このような極端な発言に至ったらしい。
しかしアメリカは元々、アメリカ先住民が住む大陸に移民が押し寄せてできた国であり、カールソン氏の理論が正しいとすれば、その大多数が「貧しく、汚い」移民の子孫で成り立っている国なのである。
■発言を受け広告主24社が次々撤退、日系企業も
カールソン氏の発言を受け、左派団体やツイッターのフォロワーから圧力を受けた同氏番組の広告主が一つ、また一つと撤退を始めた。
しかしニューズウィークによると、カールソン氏は翌16日、さらに自身の番組で追い討ちをかけるように、「(不法移民がメキシコで)通りを汚し、公共の場でドラッグをし、通行を妨害し、住宅に侵入する」「私は圧力に負けない」などと発言。
その後、情報サイト『The Wrap』によると、18日現在、レクサス(トヨタの高級車ライン)、ジャガー、保険会社パシフィックライフ、外食企業アイホップ(IHOP)、サムスン電子、武田薬品など広告主24社が同氏の番組から撤退したという。
カールソン氏の番組広告主のなかにはかなり多くの外国企業が存在する。番組資金を外国企業に頼っておきながら移民を攻撃するのはあまり賢い選択とは言えないだろう。
■「言論の自由」には自己責任がつきものの社会
FOXニュースでは以前も、極右派の番組司会者ローラ・イングラハム氏が、銃乱射事件の生存者である高校生デイヴィッド・ホッグさんが大学の入学審査に落ちたことをツイッターで嘲けり、逆にホッグさんの反撃を受けて
半数以上の広告主を失った経緯がある。イングラハム氏はその際謝罪(らしきもの)をしてしばらく身を隠したが、今回はカールソン氏もタイミング良く「事前に予定されていた」ホリデー休暇に入った。ほとぼりが冷めるのを待って復帰する作戦だろう。
カールソン氏をはじめ、右派はこのような失言をした後に「左派はわれわれの言論の自由を奪おうとしている」と極端な主張に走り、共和党を支持する人々に危機感を植えつけようと企てることが多い。
アメリカにはもちろん言論の自由はあるが、その結果として広告主や職を失うこともある。失言や暴言は個人の自由だが、その責任もまた自分で取らなければならないという「おまけ」が付いてくることも忘れてはならない。
ソース:NewSphere
https://newsphere.jp/national/20181225-1/
2018/12/25