仕事のミスが相次いで受診するケースが多く、専門家は「症状があれば早期に医療機関を受診してほしい」と話しています。
聴覚情報処理障害は、聴力は正常なものの様々な音が同時に聞こえる雑踏のような場所では話の内容を聞き取れない症状です。
長年研究にあたっている国際医療福祉大学の小渕千絵准教授が、大学のクリニックの聴覚の専門外来を受診したこの症状の疑いがある105人を分析したところ、20代から30代が全体の6割を占めていたことがわかりました。
このうち、症状を「18歳までに自覚した」という患者が半数以上に上り、「講義の内容がわからない」とか「電話対応ができない」といった学生生活でのトラブルや仕事のミスで、受診につながるケースが目立ったということです。
小渕准教授は「早くから症状に気づいていながら自分の不注意や能力のせいだと思い込み、受診が遅れるケースが目立つ。早期に専門の医療機関を受診しアドバイスを受けてほしい」と話しています。
聴覚情報処理障害は、栃木県大田原市の国際医療福祉大学クリニック言語聴覚センターのほか、札幌市の札幌医科大学附属病院、仙台市の東北大学病院、東京・港区の東京都済生会中央病院、大阪・枚方市の関西医科大学附属病院、大阪・阿倍野区の大阪市立大学医学部附属病院、福岡市の九州大学病院のそれぞれ耳鼻咽喉科で、広島市の県立広島病院の小児感覚器科などで診察や検査を受け付けています。
ほかにも対応できる病院などが増えてきているので、病院やクリニックに問い合わせてみて下さい。
それぞれの病院では、「最寄りの耳鼻科のかかりつけ医でまず聴力検査などを受けた上で受診してほしい」と話しています。
また、「聴覚情報処理障害」の症状を持つ患者への対応についても、研究が進められています。
東北大学病院の川瀬哲明教授と東北大学電気通信研究所の坂本修一准教授の研究チームは、音が一切響かない特殊な部屋に配置したおよそ60個のスピーカーのうち、無作為に選んだ5つのスピーカーから流した音声を聞き取ってもらう研究を行っています。
これまでの研究では、音声を流す前に同じスピーカーから合図となる音を出すことで、音声を正確に聞き取れる傾向がみられたいうことです。
研究チームでは日常生活でも話す前に手を挙げるなど事前に注意を向けてもらうことでことばを聞き取りやすくならないか詳しく研究を進めることにしています。
川瀬教授は、「本格的な研究はこれからだが、周りの適切な支援があれば雑音がある場所でもことばが聞き取りやすくなる可能性があると思っている」と話しています。
12月27日 11時02分
首都圏 NEWS WEB
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