【ロシア】ロシア民族五百年の“不変の行動”「軍事真空地帯をつくると、そこにロシア軍は吸い込まれるように侵入する」
■これほど大胆なロシアの侵略に世界は唖然としたが、ロシア民族は領土拡大と“国際孤立”の二者択一の場合は、躊躇うことなく領土拡大を選択する
プーチンの対外膨張のパターンに関わる最小限の事実知である。
プーチン侵略の第一特性は、米国大統領の政権交代期の、現職大統領のレームダックの時を狙うという狡猾なもの。
第二特性は、ロシア民族五百年の“不変の行動”「軍事真空地帯をつくると、そこにロシア軍は吸い込まれるように侵入する」の通り、米国が軍事力投入をあきらめた軍事空白に、それを埋めるように必ずロシア軍は侵攻する。
第一の特性は、ブッシュ共和党大統領がレームダックとなり、ケニア系黒人の容共オバマが米国大統領になるだろうと目された2008年8月、プーチンは一気にコーカサス地方に兵を投入した。
ロシアがグルジアに侵攻して、南オセチアとアブハジアを軍事力でもってグルジアから取り上げロシアに編入した世界史的侵略は2008年8月だった。
この2008年8月とは、米国のブッシュ大統領が任期満了を目前にレームダックになった時。
米国が“弱い”タイミングを間髪入れずに強行するロシアの侵略パターンは、永遠に不変である。
“対ロ売国奴”安倍晋三に国後・択捉島を貢がせる2016年12月のプーチン・安倍の長門談合もまた、ロシアに拳を振り上げる勇気はない臆病者のくせに
プーチンが大嫌いなオバマが完全なレームダックとなり、プーチン大好き“外交音痴”トランプが大統領に就任直前の時期に当たる。
話を戻す。ロシアの南オセチアならびにグルジア領内侵攻の侵略こそ、冷戦の終焉というべき、“ポスト冷戦の、その終焉”となった。
1989年12月、マルタ島でゴルバチョフ(ソ連共産党書記長)が勝手に言い出したロシア製の新語“冷戦の終焉”は、十九年をもって、再びロシアによって幕を閉じたことになる。
それは同時に、21世紀が中ロの侵略し放題の“戦争=熱戦の世紀”への再突入したことを告げるゴングであった。
2008年8月、日本人で、“冷戦の終焉”が終焉して、熱戦の時代に突入したと考えた者は一人もいなかった。日本人は、地政学的視点はむろん、国際政治のイロハ的教養すらすっかり喪失した。
日本人は“度外れの国際情勢音痴”に劣化したのである。正確には、日本人は、もはや日本国の国民ではなく、世界に生きる意志と能力を去勢された“生物学的なヒト”に堕してしまっている。
そして、この痴呆化した日本人に酷似した男が、米国大統領になるトランプである。この意味で、首都ワシントンの主になるトランプは、“鏡に映る典型日本人の鏡像”ともいえるだろう。
■南オセチア/アブハジア侵略併呑に続く、ロシア侵略の第二弾は、クリミヤ半島を一気に軍事占領した2014年3月。
これほど大胆なロシアの侵略に世界は唖然としたが、ロシア民族は領土拡大と“国際孤立”の二者択一の場合は、躊躇うことなく領土拡大を選択する。
プーチン・ロシア大統領の対ウクライナ強硬路線の実行は、米国オバマ大統領が、化学兵器を使用したシリア・アサド政権への軍事制裁を世界に公言しながら中途で投げ出し、
そればかりか、その後始末をこの化学兵器をシリアに売却した“アサドの共犯者”ロシアに丸投げした2013年8月に決意されたもの。
つまり、米国大統領の怯懦こそ、プーチンを、クリミア半島侵略へと誘った元凶だった。
シリア独裁政権アサドに対する軍事制裁を、みずから世界に公約し自ら投げ出した2013年8月のオバマ大統領の米国の怯懦と逃亡は、
ロシアをしてウクライナ侵略を決意させただけでは終わらず、シリアをロシアの衛星国とする、中東にロシアを進出させたターニング・ポイントの決定打となった。
シリアのロシア衛星国化はまた、ポスト冷戦後初の、ロシアの中東における橋頭保の獲得であり、地中海へのロシア海軍の再進出であり、中東攻略と地中海遊弋へロシアが息を吹き返したことになる。
これを、2008年8月から2014年3月にかけての黒海のロシア準・内海化と併せて考えると、ロシアの再膨張慣性には飛躍的な加速器がとりつけられたようなものになった。
マッキンダー地政学(備考)は、「ハートランド」は中東を制しアフリカに覇権を打ち立てるとしたが、その方向へのベクトルに、今やロシアは着実な歩みのペースを加速している。