親が、子どもに食事などを与えない育児放棄(ネグレクト)が深刻化している。
警察庁によると、今年上半期の児童相談所への通告人数は過去最多の3795人で、4人の子どもが命を落とした。
1歳の息子への保護責任者遺棄致死罪で懲役6年の実刑判決を受けた母親は拘置支所で読売新聞の取材に応じ、
オンラインゲームが原因だったことを明かした。
「本当の世界はゲームの中。現実世界は偽物だった」
埼玉県桶川市のマンションの一室で昨年10月、1歳1か月の山辺晴(はると)ちゃんが衰弱死した事件で、
今月14日に保護責任者遺棄致死罪で懲役6年の実刑判決を受け、期限までに控訴せず29日に刑が確定した
母親(25)は取材に対し、そう話した。
幼い頃から転校が多く、友人はほとんどいなかった。中学2年の頃からオンラインゲームを始め、家に引きこもりがちになった。
2013年1月、オンラインゲームで知り合った夫(25)(懲役6年の実刑判決)と結婚し、3人の子どもが生まれた。
自宅で四六時中、出会い系サイトやゲームに興じる夫の姿を見て、「自分もゲームにもっと時間を使いたい」と思うようになった。
日中はスマートフォンのゲームをし、夜中に子どもたちが寝静まると一人で近くの実家に行き、パソコンでオンラインゲームをした。
ゲームで知り合った人とチャットでやり取りをするようになると、スマホが近くにないと不安を感じるようになった。
部屋の床にあった子どもたちの排せつ物も片づけずに放置した。
生活は昼夜逆転し、食事を作るのもおっくうになった。4歳の長男と2歳の次男は冷蔵庫から自分で食料をあさって食べたが、
1歳だった晴ちゃんには泣き叫んだ時にだけミルクを与えた。ゲームに課金しすぎて、ミルクを薄めて飲ませたこともあったという。
晴ちゃんの死亡時の体重は約4キロで、標準体重の4割程度に痩せ細っていた。
母親は、当時の心境について、「育児を誰も助けてくれず、心がぱんぱんだった。いつの間にかゲーム上の友人とのチャットの方が
子どもより大切になっていた」と話した。