巨人は2019年1月7日、FAで獲得した丸佳浩外野手(29)の人的補償として、
長野久義外野手(34)が広島に移籍することを発表した。
広島から長野獲得の意向を受けた巨人はこの日午前に長野に通告し、長野が承諾したことで移籍が決まった。
巨人のFAによる人的補償での流出は、昨年12月に西武に移籍した内海哲也投手(36)に続いて2人目となった。
球界を揺るがした移籍劇から年をまたいで17日目にして再び巨人に衝撃が走った。
丸外野手の人的補償として広島が選択したのは巨人一筋9年のベテラン長野だった。
年明けに長野獲得へ方針を固めていたという広島は、この日までに巨人に長野獲得の意向を通達し、移籍が成立した。
長野はこの日、球団を通じてコメントを発表。
「3連覇している強い広島カープに選んでいただけたことは選手冥利に尽きます。
自分のことを必要としていただけることは光栄なことで、少しでもチームの勝利に貢献できるように精一杯頑張ります」
と、今回の移籍を前向きにとらえた。
■2度のドラフト指名→入団拒否、「巨人愛」は筋金入り
広島への移籍を長野がすんなりと受け入れたことに、
巨人の球団関係者からは「最悪の事態は回避できた」と安どの声が上がっているという。
関係者が言う「最悪の事態」とは、長野が広島の移籍を拒否して現役を引退することだ。
長野はプロ入りする際に巨人入団にこだわり続けた。
大学卒業時と社会人時代にそれぞれドラフトで指名されながらも入団を拒否。
2009年に3度目の正直で巨人から1位指名を受けて晴れて念願の巨人入りが実現した。
筋金入りの「巨人愛」を持つ長野だけに、球団関係者は「移籍」→「引退」の最悪のシナリオも想定していたという。
FAのルールでは、28人のプロテクトリストから漏れた支配下選手で獲得の指名を受けた選手は、これを拒否することは出来ない。
当該選手が拒否した場合、選手はプロ野球選手としての資格を停止され、現役引退を余儀なくされる。
長野場合、選択肢は「広島移籍」か「引退」の二択しかなかった。
過去には、定岡正二氏が「巨人愛」を貫き、29歳の若さで現役を引退している。
鹿児島実高時代、甲子園を沸かせ1974年のドラフト1位で巨人に入団した定岡氏は1985年オフに近鉄との
トレードを持ちかけられたがこれを拒否。「巨人の選手のまま辞めたい」として、トレードに応じることなくユニフォームを脱いだ。
近年では元木大介氏もそのひとり。元木氏は長野同様にドラフトで指名された球団の入団を拒否し、
浪人してまで巨人入りした選手だ。2005年に戦力外通告を受けた際には、複数の球団からの誘いがあ
ったにもかかわらず、「入団したときからこのチームでいらないと言われたら辞めようと決めていた」との理由で引退を決意。
当時まだ33歳の若さだった。
長野が広島への移籍を選択したことで、球団関係者のみならずネット上では巨人ファンからも安どの声が多数あがっている。
「長野さん、引退しなくて良かった」
「もしかして辞めてしまうかと…。広島でも頑張ってほしい」
「巨人好きすぎて広島に行かないかもと。引退しないとのことで安心しました」
このようなコメントに応えるように長野は「ジャイアンツと対戦することを楽しみにしています」と古巣ファンに向けてメッセージを送った。
また、巨人・石井一夫代表取締役社長兼編成本部長は「長年の功績に感謝するとともに、今後の活躍を期待しています」と労いの言葉で送り出した。