1/15(火) 11:51配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190115-00010000-voice-bus_all
<<「定年時に最低でも3,000万円の貯蓄が必要」とささやかれ、「年金は破綻する」という言説が強調されるなかで、多くの日本人の気持ちを不安にさせている。しかし、そこに真っ向から反論するのが、経済ジャーナリストの荻原博子氏。
自著の『年金だけでも暮らせます』にて、その理由を力強く主張している。なぜそこまで言えるのか? 同書にて年金が破綻しないと言える3つの根拠を解説している。その一節をここで紹介する。>>
※本稿は荻原博子著『年金だけでも暮らせます』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです
少子高齢化で年金は本当に破綻するのか?
これから年金をもらおうという人、すでに年金をもらっている人が共通して持っている不安は、老後の命綱である「年金」そのものが「破綻」してしまわないか、ということでしょう。
現在、公的年金(年金制度)では、加入者のみなさんに支払いを約束しているお金(年金受給権が発生しているもの)が1000兆円以上あります。
けれど、将来のために積み立ててあるお金はわずか160兆円ほど。これから徴収していく保険料は少子化で減っていくし、年金をもらう人は高齢化で増えていく。
こうした状況だけを見ると、年金制度は、計算の上では、完全に破綻状態にあるということになります。
つまり、年金をもらう資格のある人がいっせいに、「今すぐ、もらえるはずになっている年金を全額欲しい!」と言ったら、到底払えないということになるからです。
しかし、「年金」がほんとうに「破綻」するのかというと、結論から言えば、年金は「破綻」しません。
年金が破綻しないのは、3つの理由があるからです。
(1)年金は、今すぐ全額支払うものではない
(2)破綻しそうになれば、政府が助ける
(3)破綻しないための様々なテクニックがある
それぞれについて、順番に見ていきましょう。
年金は、今すぐ全額支払うものではない
今、私たちが加入している公的年金は、過去の大盤振る舞いや杜撰な管理など様々な理由で、超高齢化社会に対応できるだけの十分な積立がない状況です。
しかも、みなさんご承知のように、その大切な虎の子の積立金も、その多くを株式運用や外貨建て投資信託などのリスクのあるものに投資しているので、経済状況の悪化や為替相場の変動によって、目減りしてしまう可能性があります。
ですから、「こんな状態ならさっさと年金を解散して、積立金を山分けすればいい。
保険料は各自で将来のために積み立てていったほうがいい」と考える人もなかにはいるようです。
しかし、公的年金は、借金が山のようにある家庭のようなもの。すでに1000兆円近い積み立て不足があるために、今解散したら積立金をもらえるどころか、1人1000万円くらいずつ逆に支払わないと、公的年金は廃止できません。
単純に4人家族なら、約4000万円支払うということになり、とても現実的とはいえません。
実は、民主党政権時に、今の年金制度を、自分が支払った分だけを将来受け取れるような年金制度に変えようとしたことがあります。ところが、すでにある年金制度が、あまりに借金だらけだったために制度の変更ができなかったという経緯があります。
それでも年金は、どんなに借金だらけであっても、「破綻」しません。なぜなら、その借金を、すぐに全額支払わなくてもいいからです。
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