その上司は結婚式にも出席し、もっともらしいスピーチもしたとのこと。ところが、実際は「俺のお古を…」などと嘲笑っていた様子。この事実は実は部署すべての人間が知っていて、飲み会の席で酔っ払った同僚がつい口走ってしまい、その事実を知ったといいます。
恥辱を感じ離婚を希望
嫌な過去を知ってしまったAさんは、「なぜ教えてくれなかったのか?」と同僚に詰め寄りますが、「知っていると思っていた。幸せそうだし、そんなこと言えないよ」とのこと。二股をかけていたのかどうかはわかりませんが、「乗り換えられた」ことは事実で、不潔感を覚えています。
また、交際相手をわざわざ披露宴に招いたことも許すことができないとのこと。「自分だけ」が事実を知らず幸せそうにしていたことは、まさに恥辱の一言。結婚生活を続けていくことは難しいと感じているそうです。しかしこのようなケースが離婚事由と認められるのか不安で、現在苦悩しています。
そこで離婚問題に詳しい秋葉原よすが法律事務所の近藤美香弁護士に相談してみました!
離婚は可能?
近藤弁護士:「離婚の方法は、妻と話し合って双方が離婚に同意するか(協議・調停)、裁判で離婚を認めてもらうか、のどちらかしかありません。
したがって、Aさんが妻に離婚したいと告げ、妻が同意してくれたら離婚は可能です。Aさんが妻に対して、どうしても過去を許せないこと、これまでの妻の対応から、今後夫婦としての信頼関係を築く自信がないことなどを真摯に説明すれば、妻としても離婚に応じざるを得ないと考えて、離婚してくれる可能性もあると思います。
しかし、Aさんが心配する通り、妻が離婚に同意してくれない場合もあり得ます。このような場合に離婚するには、離婚調停を経た上で離婚裁判を提起し、裁判官に離婚を認めてもらう必要があります。裁判官に離婚を認めてもらうには、民法の定める離婚事由の存在が必要です。
離婚事由の一つとして「配偶者に不貞な行為があったとき」(不貞行為)が挙げられています(民法770条1項1号)が、妻の不倫は結婚前のことですので、これには該当しません。
そのほかにも、一般的な離婚事由として『婚姻関係を継続し難い重大な事由』というものがあります(民法770条1項5号)。しかし、『婚姻関係を継続し難い重大な事由』があると認められるには、当事者の主観だけではなく客観的に婚姻破綻が認められる場合とされています。したがって、Aさんに妻の結婚前の行状が許せないという強い気持ちがあっても、それだけでは『婚姻関係を継続し難い重大な事由』があるとは認められないでしょう。Aさんの気持ちのほかに、長期間の別居など、婚姻が破綻しているという客観的状態が必要となると考えられます。
※残念だけど続きはソース元で見てちょうだい!