2019年02月03日
アニメ「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」「機動警察パトレイバー」などで知られる押井守監督が、自身の映画体験について語る「この映画が観たい#65〜押井守のオールタイム・ベスト〜」が4日、CS放送の映画専門チャンネル「ムービープラス」で午後11時から放送される。同チャンネルで6日ほかに放送される「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」は、1984年に公開された押井監督の出世作。その後のアニメなどに影響を与えた。自身の転機になったという名作「ビューティフル……」について、監督に聞いた。
◇「ビューティフル・ドリーマー」で何をやってもいいと思い込んだ
押井監督が「ビューティフル・ドリーマー」を最後に見返したのは10年ほど前。ブルーレイディスク発売前にチェックしたのが最後だったという。「作り終わってから3、4回しか見ていないかな? リニューアルする時に見るくらい。ちゃんと見たことがほぼない。自分が作ったものを見ることはほとんどない」と話す。
「ビューティフル・ドリーマー」は、高橋留美子さんのマンガが原作のアニメ「うる星やつら」の劇場版第2作。とある一日を延々と繰り返す夢の世界に放り込まれた人々を描き、アニメにおけるループものの元祖とも呼ばれている。アニメだけでなくさまざまな作品に影響を与えた作品。
「監督としての展望が一気に開けた。売れたし、評判にもなったので。逆に言えば、つまずきの石にもなった。何をやってもいいと思い込んで、イケイケになってしまった。それがなければ(85年に発表されたOVAの)『天使のたまご』はなかった。『天使のたまご』をやって3年以上、仕事がなくなって貧乏生活になった。一番苦しかった時期。苦しかったと言っても実際にはそんなに悩んでいたわけではく、ずっとゲームをやっていたんだけど。(オンラインゲームが登場する映画で2001年に公開された)『アヴァロン』で元を取った(笑い)」
押井監督は「機動警察パトレイバー」で第一線に復帰することになる。
「『パトレイバー』を依頼されなかったら、あのまま沈んでいたかもしれない。『パトレイバー』をやったことは職業監督としては意味があった。それまでは何をやってもいいと思い込んでいたので。『ブレードランナー』(82年公開)を見て、世界観を作るのが映画の仕事だと思い込んじゃった。今でも割と思い込んでいるところもあるんだけど(笑い)」
◇映画監督は作家でも芸術家でもない
「この映画が観たい」では、自分が作る映画の方針が決まったという「ブレードランナー」、SF作家になろうと考えるようになった「2001年宇宙の旅」(68年公開)、映画監督になろうと思った「映画に愛をこめて アメリカの夜」(73年公開)と、影響を受けた作品や少年時代に見て強烈に印象に残っている映画について語る。映画について語る押井監督を見ると、新作を見たい!という思いが強くなるファンも多いだろう。押井監督は今後、どんな作品を作っていくのだろうか……。
「『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』をやった時から決めたんです。(依頼が)来たものを全部やる。自分で決めない。その方が監督の在り方として正しい。映画監督は作家でも芸術家でもない。依頼が来たものをどうやって自分のものにするかだから。(予算が)安い高いも関係ない。来たものからやる」
「全部やる」というのだから、新作にも期待したい。
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