「悪夢のような民主党政権」――。10日の自民党大会で安倍首相が発した言葉が物議を醸している。予算委員会で発言の撤回を求めた岡田克也元民主党代表に対し、安倍首相は「経済政策について主に批判させていただいている」と、アベノミクスが成功しているかのように話していたが、経済指標で比べても、民主党政権の方がよかった事例がたくさんあるのだ。
まず、実質賃金が今より高かった。民主党政権(2010〜12年)の実質賃金の平均賃上げ率は2.59%で、第2次安倍政権(13〜18年)は半分以下の1.1%だ。経済アナリストの菊池英博氏によると、第2次安倍政権の発足以降、実質賃金は年平均で15.8万円もダウンし続けているという。
財務省の法人企業統計を見ると、アベノミクス以降、企業が稼ぎを人件費に回す割合の「労働分配率」は下がり続け、17年度は66.2%と43年ぶりの低水準だった。一方で、企業の内部留保は6年連続で過去最高額を更新。17年度は446兆円にまで膨れ上がった。民主党が下野した12年度の304兆円から、労働者に分配せず、142兆円も増やしてきたのだ。
安倍首相がひとつ覚えで「史上初めてすべての都道府県で1倍を超えた」と威張る有効求人倍率にしても、民主党政権の上昇トレンドを受け継いだ恩恵が大きい。
「リーマン・ショックの影響で、09年1〜3月期の経済指標は軒並み大幅なマイナスでした。有効求人倍率も09年に0.47に落ち込んだが、民主党政権で回復し、12年に0.80まで戻したところで安倍政権にバトンタッチしました」(経済評論家・斎藤満氏)
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■「庶民には暮らしやすかった」
都合の悪い数字はいじり、大本営発表で見せかけの景気回復を演出する。それがアベノミクスの本質ではなかったか。鳩山政権で過去最高の11位を記録した「報道の自由度ランキング」も、17年には72位まで順位を落としてしまった。
民主党政権の経済政策は、決して間違っていたわけではない。内閣府の「暦年実質GDP」のデータを比べると、民主党政権は10年の489.6兆円から12年の519.2兆円まで6.1%も伸ばした。東日本大震災があったにもかかわらずだ。一方の安倍政権は17年の530.1兆円まで2%程度しか成長していない。16年にGDPの算出方法を変更してカサ上げしても、実質成長は民主党政権に遠く及ばないのだ。
「GDPの6割を占める個人消費が、民主党時代は増えていました。個人を犠牲にして資産家や大企業を儲けさせる安倍政権よりも、勤労者の生活を重視する民主党の経済政策の方が、国民は暮らしやすかったと思います」(斉藤満氏)
民主党政権は、自民党や既得権者にとっての悪夢だったということだ。
2019/02/14 15:00 ゲンダイ
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