政治的には対立でも文化交流は活発
だが、私が今回、このコラムであえて強調したいのは、日韓関係には、政治的対立とは別の「友好的側面」も存在するということである。特に、文化交流の面では現在、あの15年前の「ヨン様ブーム」以来の韓流ブームが到来している。言ってみれば、いまの日韓関係は「政冷文熱」なのである。
「そんなバカな」と思われる方に、いくつか実例を示したい。
観光庁の発表によれば、昨年日本を訪れた韓国人観光客は、前年比5.6%増の752万6000人と、過去最高を記録した。消費額も5842億円と、「爆買い」の中国人に次ぐ額を、多くの消費を日本でしてくれている。
同様に、韓国観光公社の発表によれば、昨年韓国を訪れた日本人観光客も、295万人に達した。これは前年比28%増である。こうした日韓交流の増加は、政治問題と関係なく、文化的関係が熱を帯びていることを意味している。
また、この原稿を執筆している2月17日現在、日本のアマゾンの和書で「文芸作品」単行本の第1位は、日本の有名作家の作品ではなくて、韓国人女流作家のチョ・ナムジュが書いた小説『82年生まれ、キム・ジヨン』である。昨年12月7日に日本語版が発売されて以来、すでに2カ月以上にわたってベストセラー街道を驀進している。日本人の反韓感情が文化面にまで浸透しているのだったら、こんな現象が起こるはずはない。
原爆Tシャツ騒動のBTSもドーム公演で38万人動員
読んでみると分かるが、この小説のストーリーは、多分に韓国的だ。34歳の専業主婦キム・ジヨン(1982年生まれの韓国人女児で最も多かった名前をつけた)は、IT企業に勤める男性と2年間付き合った末、3年前に結婚し、現在は1歳の娘と3人暮らしだ。
そんな中、彼女に他人の人格が瞬間的に乗り移る現象が見られるようになる。自分の母親になったり、親しかった先輩女性になったりするのだ。そして「秋夕」(チュソク=旧盆)の日、釜山の夫の実家に一族が集まっている席で、ジヨンに自分の母親が憑依して、夫の両親への不満をぶちまけてしまう。驚いた夫は、彼女を産後の鬱病ではないかと疑い、精神科に行かせる。
精神科医は、彼女を解離性人格障害と診断する。病院通いを機にジヨンは、自分の人生が生まれてから現在まで、女性だということで、韓国社会の中でいかに
差別を受けてきたかを振り返る・・・。
この本は、2014年に韓国で発売されるや100万部を超えるベストセラーとなり、文在寅政権がたびたび、この本を取り上げて女性差別やセクハラ防止を訴えている。そのような「文在寅公認本」が、日本でバカ売れしているのである。
K-pop部門でも、「防弾少年団」(BTS)をご存じだろうか? 2013年6月に韓国で結成された男性7人組のヒップホップ・アイドルグループで、言ってみれば「韓国版ジャニーズ」のような存在だ。アジア人初のビルボード1位を獲得し、この2月10日には、グラミー賞のプレゼンターも務めた。デビュー以来の経済効果は4兆1400億ウォン(約4060億円)に達すると、韓国経済研究院は発表している。
彼らは2014年6月に日本デビューを果たし、「日本中の女性を虜にした」という意味では、あのヨン様以来の存在感を見せている。これまでオリコン週刊ランキングで1位になったシングル曲が4曲もあり、2017年6月には雑誌『an・an』の表紙を飾った。日本語バージョンのオフィシャル・ミュージックビデオのユーチューブでの再生回数は、3331万850回にも上っている(2月17日現在)。
以下ソース先で
2019.2.19
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55525
http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/d/6/200/img_d6d33da741e40d333b1292eda422095b36032.jpg