18日深夜に配信されたインスタライブの中で、このような言葉を口にしたのはプロ野球楽天のオコエ瑠偉。自身の妹であるバスケットボール選手・オコエ桃仁花の配信に登場した21歳は、迫り来るその時を憂いていた。
日本とナイジェリアのハーフであるオコエ兄妹をはじめとした二重国籍者は、国籍法の関係上22歳までに「国籍選択」をしなければならない。日米両国の国籍を持つテニス・大坂なおみの活躍をきっかけにこの決まりを知ったという人も多いだろう。
二重国籍として生まれた人のほとんどは、両親のルーツを分け隔てることなく尊重している。しかし、現在の日本においては、いずれは“二者択一”の選択を強いられることになる。
どちらかのルーツを捨てさせる“無情の法”が、二重国籍者に大きな苦悩をもたらすことは想像に難くない。しかも、実に悲しいことに、昨今はどちらの国籍を選んでも多難な前途が待ち受けている。
例えば、日本国籍以外を選ぶとする。この場合「日本を捨てた」、「裏切り者」、「二度と帰ってくるな」といった的外れな批判が殺到することはほぼ確実。先に書いた大坂なおみが仮に米国籍を選べば、それまで応援してきた世間は一斉に手のひらを返すかもしれない。
こうした状況も危惧した上で、日本国籍を選んだとする。それでも、鼻高々に“純血主義”を掲げる残念な人も多い今の日本では、肌の色や顔立ち、さらにはもう片方のルーツを理由に差別を受けることも多いだろう。
現に、日本とイランのハーフであるダルビッシュ有は、自身のツイッターで「ずっと日本で育ってきてるから、冗談でも日本人じゃない的な言い方をされるとうれしくはないよなあ」と本音を漏らしている。おそらくこれは氷山の一角で、他にも心ない言葉を浴びせられている人は多数存在するだろう。
二重国籍が容認されればこのようなデメリットもなくなるのだろうが、現状ではそれが実現する見通しはない。それならばせめて、どちらの国籍を選んだとしても、当人の決断を尊重する寛容な人が増えてほしいものだが…