外国人労働者の受け入れ拡大に向けた新在留資格の創設をめぐり、自民党は22日に法務部会を開き、党内論議に入る。
新資格には「事実上の移民政策」との指摘が識者から出ている。
日本での就労を望む外国人にどこまで門戸を広げるかが焦点となる。
新在留資格は「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類。
「即戦力」の人材が対象の1号は、在留期間が5年に限られ、家族も基本的に呼び寄せられない。
各種試験で「熟練した技能」を証明して2号を取得すれば、在留期間は無期限となり、家族の帯同も認められる。
政府は当初、新資格の対象業種として建設、農業、宿泊、介護、造船の5分野を想定していたが、人手不足にあえぐ業界の要望を踏まえ、十数分野まで広げることを検討している。
与党の了承を得た上で、24日召集の臨時国会で関連法案を成立させ、来年4月に導入したい考えだ。
もっとも、新資格は単純労働を受け入れてこなかった日本の外国人政策の「歴史的転換」(政府関係者)だ。
これまで自民党から目立った異論は出ていないが、議論が始まれば曲折も予想される。
最大のポイントは外国人労働者をどこまで受け入れるかだ。
外国人労働者数は近年急増。
在留資格「技能実習」の取得者の増加などにより、08年の約49万人が17年には約128万人となった。
政府は、新資格の導入後に想定される外国人労働者数の試算を明らかにせず、新資格の審査の際に技能と日本語能力を測る各種試験の合格基準も明確にしていない。
党内論議では「移民アレルギー」のある保守派が基準の厳格化を求めたり、人手不足に直面する地方選出の議員らが対象業種拡大の要求をしたりする可能性がある。
外国人の生活環境対策も大きな論点となる。
これまで外国人労働者の受け皿となってきた技能実習制度は、就労条件の劣悪さから事実上の強制労働と非難された経緯がある。
先進国間の人材獲得競争を勝ち抜くためにも、手厚い社会保障の必要性を訴える声も出そうだ。
公明党や立憲民主党など野党は自民党に先立って党内論議を始めているが、「臨時国会だけで議論を終えていい問題ではない」と慎重審議を求める声が強い。
来年4月導入へ意気込む安倍晋三首相の思惑通りに進むか、不透明な面もある。