韓国人徴用工判決とは何だったのか 韓国人記者が語り合う(抜粋)
韓国大法院(最高裁)は10月30日、徴用工への損害賠償を初めて認めた。判決の
背景には何があるのか。韓国市民は判決をどう受け止めているのか。朝日新聞
ソウル支局に勤務する韓国人職員4人が話し合った。
――日本政府は「1965年の請求権協定を覆す判決だ」と批判しています。
崔 その批判はあたらない。65年体制には限界もある。戦後、韓国が資金面で
日本に依存せざるを得ない時代もあった。その時代背景を踏まえて朴正熙政権が
取った判断であり、被害者や市民を軽視する傾向があったことは否めない。
韓日間には未解決の問題は多い。こうした問題を包括的に解決するグランド
デザインを両政府が描くべきではないか。
――日本が慰安婦問題などの解決が十分できなかったから、今回の事態を招
指摘もあります。
李 韓日経済関係はそれほど悪化しないと思う。日本企業も自社の利益を考えた
場合、韓国から簡単に撤退することはないだろう。
黄 企業にはイメージの問題もある。企業としても未解決のままでは負担になる。
賠償という形式は取れないだろうが、何らかの措置は取らざるをえないのではないか。
――「韓国人は昔の取り決めを、現在の物差しでひっくり返す」という批判もありますね。
宋 過去の約束が「お話にならない」と思うから、ひっくり返すのではないか。
――韓国人の日本訪問は増えていますが、日本のなかで「嫌韓論」が広がらないか
心配です。
宋 私は今回の問題があるからと言って、日本に行かないという考えは持たない。
でも、嫌韓論が広がれば、ちゅうちょする韓国人も出るだろう。日本企業もどんな
格好でもいいから、問題解決に向けた姿勢を示す必要があるのではないか。
李 韓国と日本は地政学的にも離れられない隣人だ。お互いが、一歩ずつ譲り
合えば良い結果が生まれるのではないか。今月、北海道を旅行するが、日本の
知人と会えることを楽しみにしている。私の日本の知り合いたちは、こういう
問題が起きるたび、私たちを勇気づける言葉をくれるからだ。
https://globe.asahi.com/article/11920464