日帝強制徴用被害者側が新日鉄住金に対し「3月1日までに交渉に応じなければ裁判所に国内財産売却命令を申請する」と明らかにした。交渉のデッドラインを「三一節(独立運動記念日)」に決めて最後通告をしたのだ。
新日鉄住金の韓国国内の財産は関連会社PNR(POSCO−Nippon Steel RHF Joint Venture)株(約234万株、約11億円)だ。現在までは被害者側の要求で裁判所が新日鉄住金の保有株に対する差し押さえ命令だけを出した状態だが、被害者側が裁判所に売却命令を申請すれば新日鉄住金の株式を売却できる。
強制徴用被害者側の代理人、崔鳳泰(チェ・ボンテ)弁護士は9日、「個別の訴訟で賠償金を受けるのではなく、提訴しなかった徴用被害者を含めて被害者を対象にした包括的な和解を望むため、売却命令までは申請しなかった」とし「しかしいつまでも待つことはできないため、3月1日まで交渉に応じなければ売却命令も申請するしかない」と明らかにした。
これに先立ち被害者側は最高裁の判決を通じて損害賠償責任が確定した三菱重工業に対しても、「3月1日までに交渉に応じなければ国内の特許・商標権に対する差し押さえ命令を申請する」と明らかにしている。
被害者側は新日鉄住金と三菱のほかにも強制徴用損害賠償訴訟の被告の企業の国内資産を調べる可能性もある。裁判所に差し押さえ命令を申請するには差し押さえ対象を被害者側が特定しなければいけないからだ。強制徴用被害者側の別の代理人は「最高裁で賠償認定判決が出ただけに、他の企業に対する訴訟も似た流れで続く可能性があり、準備している」とし「まだ仮差し押さえ申請までは考慮していないが、損害賠償が実質的に行われる方向で準備中」と明らかにした。
ソン・ギホ弁護士は「差し押さえ・売却対象を被害者側がすべて探すのは難しい作業になるかもしれない」とし「判決が確定すれば裁判所に依頼して該当企業の国内資産を探せるようにする手続きも考慮できる」と述べた。現在、強制徴用被害者側が日本企業を相手に提起した約15件の訴訟が進行中であり、被告になっている日本企業は70社にのぼる。
売却命令が決定しても新日鉄住金の保有株の現金化までは難しい過程が残っている。新日鉄住金が裁判所の決定に反発してすぐに抗告する可能性もある。売却命令が執行されても訴訟を提起した被害者だけが賠償金を受けることになり、提訴していない被害者の損害賠償が難しくなるという分析もある。このため被害者側はできる限り交渉へと圧力を加える方針という。
崔弁護士は「韓日関係が強制徴用賠償判決問題で厳しい状況だが、8日に日本の裁判所も強制徴用で長崎原爆被害を受けた韓国人3人に対して原爆手帳を認める判決をした」とし「両国の裁判所が日帝強制徴用に対して和解の決定を出しているだけに、該当企業と政府も同じ方向に動くことを期待する」と述べた。