2019.1.22
「殺されてたらどうすんだって思う。生きてる感じがしない」
「もう外をひとりで歩くのだって怖い。全部嘘だと思いたいけど真実です」
1月8日、ネット動画配信で自身の暴行被害を号泣告発したNGT48の山口真帆(23)。
騒動は静まるどころか、CNNなどで報じられたうえ、アイドルの過酷な労働環境や運営側の管理不行き届き、
芸能界の異常性、また日本の女性蔑視の考えまでもが世界に批判され、波紋は大きく広がっている。
「事件は昨年12月8日午後9時半ごろに起きました。
公演を終えて自宅マンションに帰宅した山口に、NGTのファンである無職男性A(25)と男子大学生B(25)が玄関先まで押しかけ、
ドアに手をかけ声をかけたところ、彼女が悲鳴をあげた。慌てた男らが彼女の口をふさごうとした。
実際には世間が勘ぐるような性的暴行はありませんでしたが、彼女が、暴行魔に襲われそうになったとパニックになるのは当然ですし、
結果的に未遂に終わっただけかもと考えると事態は深刻です」(地元記者)
SOSを受けて駆けつけたメンバーと、山口の帰宅時間を聞き出したとされる男らの仲間Cも加わって、双方で口論が続いたという。
ようやく当時の支配人と警察が来て、男3人は警察に連行され、翌9日にAとBが暴行容疑で逮捕された。
「彼らは20日間勾留されましたが、12月28日に不起訴処分となりました。
NGTの他のメンバーが犯人に協力していた、暴行をしむけていたという山口の主張をもとに、警察もメンバーの事情聴取や、
携帯電話の通信記録を調べて関与を調べましたが、それはなかったそうです」(前出・地元記者)
しかし、いまや世論を誘導する存在のSNSでは「警察の情報も嘘だ。地元自治体と手を組んだ運営側が操作している」
「被害者の山口の涙の訴えがすべて。彼女の主張が正しい」「チームNとチームGの関係は険悪。
山口に嫌がらせして辞めさせようとした派閥の仕業」などという意見が活発に飛び交っている。
それが揣摩臆測(しまおくそく)や思い込みであったとしても、フェイクニュースに引きずられてしまうのが人間のある種の特性ゆえ、それが真実だと信じられがちだ。
では、なぜこんな大混乱を招いているのか。
まずは、事件発生から山口の告発まで1カ月間、ファンに知らせなかったという「隠蔽」。そして、最大の被害者である山口にステージ上で謝らせた「謝罪」。
この2点は、申し開きできないほどの運営側の大失態である。
未成年の少女を預かっておきながら、大人がここまで無責任なのかと失望したし、憤りの感情も湧いた。
運営側は、メンバー、そしてファンの信頼回復が急務である。
■中村竜太郎(なかむら・りゅうたろう) ジャーナリスト。1964年1月19日生まれ。大学卒業後、会社員を経て、95年から文藝春秋「週刊文春」編集部で勤務。NHKプロデューサーの巨額横領事件やASKAの薬物疑惑など数多くのスクープを飛ばし、「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」の大賞受賞は3回と歴代最多。2014年末に独立。16年に『スクープ! 週刊文春エース記者の取材メモ』を出版。
http://www.zakzak.co.jp/ent/news/190122/ent1901229980-n1.html