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「週刊新潮」2019年2月14日号
昨年、「新潮45」のトンデモ記事が大炎上し、休刊となった。だが新潮社内部では、果たしてこのとき受けた批判を真摯に検討したのだろうか。というのは、現在発売中の「週刊新潮」2019年2月14日号で、またもトンチンカンな寄稿を掲載しているからだ。
<特別読物 語られざる「逆差別」に「男もつらいよ」>と題されたその記事。著者は、共同親権運動ネットワーク運営委員・宗像充氏だ。いわく、「#Me Too」運動ブームで、女性やLGBTの権利擁護は“花盛り”だが、男性は“逆差別”にさらされているという。
<実は、男性だって「男性」ゆえの生きづらさで悩んでいる>というが、その例としては公共交通機関の「女性専用車両/席」の問題や、「レディースデー」への不満。痴漢啓発のポスターに対して「男は全員性的異常者と言われているようで怖い」という声や、高速バスで女性の隣の席だったが運転手が気を利かせたのか女性が他の席へ移動し「何だか自分が汚いもののように感じます」という男性の声を紹介している。
また、妻から夫への「逆DV」や、女性から男性への性暴力はなかなか問題化されず、泣き寝入りしている男性も多いこと。性の悩みは「男らしさ」と直結しやすいこと。稼ぎの少ない男が自信をなくしてしまうこと。家庭ではイクメンを求められること。危険を伴う仕事や肉体労働は主に男性が担うことが常識となっていることも、男性への差別であり女性を優遇する措置であること。男性への要求が増大する社会で、男性は家庭と会社の板挟みになり、つらいのだという。
なるほど、「男もつらい」のだろう。しかし「痴漢」をはじめとした性犯罪にかんして言えば、なぜ「痴漢」ではなく「女性専用車両」を批判するのかさっぱりわからない。宗像氏は<確かに痴漢対策で、男性をすべて排除するというのは、「男性=痴漢」と決めつけているようなものだ。女性専用車両が設置され始めてから20年ほどが経つが、痴漢減少に効果があったとの有意なデータはない。これでは、単に男性を性犯罪者と見なす偏見を強化しているだけのようにも思える。>と説く。
痴漢を疑われて線路に飛び降りる事案がこの春に頻発したが、夏も終わろうという今ではひところよりも報道が落ち着いた…
しかし現に痴漢被害は存在しており、女性専用車両は被害経験者にとって有効な施策だ。残念なことに痴漢行為をはたらく卑劣な人間は存在する。多くの男性が恐れる「痴漢冤罪」も、痴漢のせいで発生している。全ての男性が性犯罪者でないことは自明だが、ならば「被害者たる女性の問題」に矮小化せず、社会問題として性犯罪を撲滅するよう“性犯罪加害者ではない男性も”働きかけるべきだろう。痴漢は男vs女の問題ではなく、性犯罪vs社会の問題だ。
であれば「女性ばかり権利を擁護されてずるい」とやっかむのではなく、男性も「男らしさ」の押し付けに抗い、権利を主張してはどうだろうか。「人間らしく働く権利」「家庭に回帰する権利」「育児する権利」「男らしさを拒絶する権利」「専業主夫になる権利」「寿退社する権利」「危険な仕事を回避する権利」など、様々な権利を主張すべきだ。
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