食品や外食で値上げの動きが顕著になっている。2月15日にはスターバックス コーヒー ジャパンが「ドリップコーヒー」や
「キャラメルマキアート」など定番の飲料商品の価格を改定し、10円から20円程度引き上げた。定番商品の全体的な
価格改定は2011年以来、8年ぶりだという。
そのほかにも様々な商品で価格改定の動きが広がっている。2月に入ってから発表された主要な価格改定だけでも以下のようなものがある。
・スターバックスコーヒージャパン…2月15日から「ドリップコーヒー」など定番飲料の価格を10円から20円程度引き上げ
・壱番屋…3月から「カレーハウスCoCo壱番屋」の988店舗でポークカレーを21円引き上げ
・明治…「明治おいしい牛乳」など牛乳のメーカー出荷価格を4月1日出荷分から1.5〜3.5%引き上げ。「明治ブルガリアヨーグルトLB81プレーン」
(400グラム)の希望小売価格を250円から260円にするなど、ヨーグルト製品を2.3〜4.7%引き上げ
・味の素…4月からコンソメや塩を値上げ。コンソメの改定幅は出荷価格ベースで7〜11%アップ(一部商品の容量変更含む)
・日清食品…「チキンラーメン」や「カップヌードル」などの即席麺、即席米飯を6月から希望小売価格ベースで4〜8%引き上げ
昨年度後半から今年1月までの間には、冷凍食品や、ちくわなどのすり身製品、大容量のペットボトル飲料の価格改定も発表されている。
さながら「値上げの春」到来といった様相だ。
相次ぐ値上げは原材料価格の上昇に加え、人件費や人手不足の影響による物流コストの高騰が原因だ。
食品メーカーや外食の各社は合理化によってコスト上昇を吸収しようと努力してきた。
また価格は据え置きながら製品の内容量を減らす実質的な値上げによって、価格に敏感な消費者の買い控えを回避しながら、コストを転嫁する工夫も重ねてきた。
例えば、4月に価格が改定される「明治おいしい牛乳」。前回、価格を改定したのは15年4月だが、その後、16年から18年にかけて全国で順次、新しいパッケージを採用。
価格はそのままに容量を1リットルから900ミリリットルに変更した。消費者視点では実質的な値上げに映ったが、明治は「遮光性に優れた容器や
注ぎやすいキャップを採用した」ことや「横幅を小さくし、持ちやすくした」ことなどを挙げて理解を求めた。今回は、その出荷価格を引き上げることとなった。
また同社は昨年4月、450グラム入りの「ブルガリアヨーグルトLB81プレーン」を400グラム入りとする一方で、希望小売価格を260円から250円とする容量変更と
価格改定をした。こちらは今回、10円値上げして容量変更前の260円に戻る。明治の広報担当は「生乳取引価格の引き上げに加え、人件費や物流コストも上がっている」と話す。
内容量を減らす「ステルス値上げ」から実際の値上げへ――。この動きが広がっているのは、コスト上昇を吸収する企業努力が限界に近付いていることに加え、
「ステルス値上げ」に対する消費者の視線が厳しくなっていることもありそうだ。
消費者庁が昨年7月に発表した物価モニター調査によると、「3年前と比較して実質値上げが増えたと感じる」と回答した人の割合が8割超に上った。
ネット上には、「ステルス値上げ」をした商品をまとめるサイトも登場している。
消費者の立場から見れば、相次ぐ値上げは確かに痛手だ。今年秋には消費税率のアップも控えており、消費全体への影響も懸念される。
ただ、値上げは食品メーカーや外食企業にとって自社の商品や価値やブランド力で、顧客である消費者と向き合わなければならない局面でもある。
「ステルス値上げ」ではなく実際の値上げの広がりは、企業の実力を問うことになる。
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